ジェームズ・W・ヤングの「アイデアのつくりかた」についてみてきました。
第4段階の「アイデアの誕生」で、
アイデアを捜し求める心の緊張をといて、休息とくつろぎの時に、アイデアは突然訪れる
とヤングは述べていますが、
待っているだけでなく、自分から何かしたい、という方も多いでしょう。
今回からアイデアを出すためのツールをいくつかご紹介します。
日本発! アイデア発見法
今回ご紹介するのは、文化人類学者の川喜田二郎さんが考案したKJ法と呼ばれるツールです。
用意するのは、名刺くらいの大きさのカードと筆記用具だけ。
まず、テーマに関係して思いつく言葉をカードに1枚1語ずつ書いてみましょう。
この時のポイントは、
思いつくままになんでも書いておくことです。
この段階で、ダメだと決めつけて
カードに書き出さなかったり、否定したりしてはいけません。
もうこれ以上思いつかない、というところまできたら、
記入したカードを類似しているものや、
関係性の深いものを同じグループにして分けて並べていきます。
イメージできるものや、よい組合せのものは採用し、
あまりよくない場合は組合せを変えてみます。
それを何度も繰り返して納得できるものを探していきます。
KJ法を使ってキャラクタをイメージしてみる!
小説やシナリオ等のキャラクタを考える、
という例で考えてみましょう。
カードには体格として、
「太っている」「痩せている」「中肉中背」「背が高い」「背が低い」の5枚があるとします。
さらに経済状態として
「お金持ち」「中流」「貧乏」
という3枚を用意しました。
上記の8枚を自由に組み合わせて並べていきます。
1「太っている」「背が低い」「お金持ち」
2「痩せている」「背の低い」「貧乏」
3「中肉中背」「お金持ち」
4「太っている」「背の高い」「貧乏」
5「痩せている」「背の高い」「お金持ち」・・・
たくさんの組合せができますね。
1の「太っている」「お金持ち」や、
2の「痩せている」「貧乏」な人というのは容易にイメージできますが、
4の「太っている」「貧乏」な人というのは、お金もないのになぜ太っているのでしょう?
体質なのか、最近急に貧しくなってしまったのか?
5の「お金持ち」はどうして「痩せている」のでしょう?
裕福なのでエステやスポーツジム、フィットネスクラブに通っているから…
などと別のイメージや背景が想像できてきますね。
さらにキャラクタを詰めていくために、
髪・目・鼻・口・手・足など、
身体的な特徴となるカードや、年齢・出身地・学歴・家族構成・特技などのカードも
作って組み合わせていきます。
「地方出身」の「家族のいない」「20歳」の「太った」「お金持ち」
というキャラクタが誕生しました。彼は
「金髪」の「長髪」で「下がった目」と「丸い鼻」、「薄い唇」
といった容姿です。
彼の育った背景はどんなものなのでしょうね?
こんなふうに想像を膨らませ、
カードを追加してキャラクタの個性をさらに肉付けしていくのです。
スマホアプリのゲームを考えてみる!
今度はゲームをつくってみましょう。
ゲームの種類として
「パズル」「RPG」「バトル」などというカードができました。
登場させるものとして
「人物」「キャンディ」「キノコ」「動物」
などというカードも用意しました。」
さあ、組み合わせです。
「人物」による「バトル」ゲーム
が面白そうなので、方向性が決まりました。
登場人物たちを先ほどの例のようにしてキャラクタ作りをしていきます。
この時、せっかくゲームに登場させるものとして書き出した
「キャンディ」や「動物」などは無駄になってしまうのでしょうか?
そのまま捨てても問題はありません。
でも、ある人物のパワーを強くするものとして
「キャンディ」を組み合わせて使ってみてはどうでしょう?
ポパイがホウレン草を食べると強くなるみたいに。
逆にパワーを奪ってしまう毒「キノコ」や、
困った時に案内してくれる「動物」といったような隠れキャラ、お助けキャラ、秘密兵器
などとして再利用することもできます。
KJ法の特徴は、1枚のカードを別のカードと組み合わせていくことによって
可視化できることです。
イメージしきれなかった部分は、カードを追加していけばいいし、
合わないと思えば取り除けばいいのです。
こうすることによって、
ステレオタイプな発想を避け、思いがけない組合せを生む
ことができるようになります。
現在では、ポストイットという便利なモノがありますから、
やや大きめのポストイットを使うといいですね。
パソコンを使うのであれば、
Excelの1コマを1枚のカードに
見立てて行う方法もあります。
カードがいっぱいになり過ぎて探すのに苦労したり、
大きな机や模造紙を用意する必要もなく、お手軽に始められます。
さあ、やってみましょう!
どんな面白い組合せを見つけることができましたか?