この映画は、名優フィリップ・シーモア・ホフマン主演の最後の映画となりました。直近ではハンガーゲーム・ファイナルに出演、映画に重厚感を出す役回りを果たしています。
彼が主演するためのとっておきのスパイ映画という印象です。派手な銃撃戦やアクションで立ち回るわけでもなく、ひたすら彼の表情と仕草がセリフ以上の説得を持つ、いわゆる演技力でストーリーをつないでくれる映画です。
- 製作:2014年
- 日本公開:2014年10月17日
- 上映時間:122分
- ジャンル:サスペンス
- 映倫区分: G
- 公式サイト:http://nerawareta-otoko.jp/
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因縁のハンブルクで潜行するテロ対策
舞台はドイツのハンブルク、9.11の実行犯の潜伏先だったこともありドイツ諜報機関はもとより支部を持つCIAも神経をとがらせいました。ハンブルクのテロ対策チームのリーダーであるギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、各組織とは別に独自のネットワークを持ち独自の操作に自信を持っていました。
そんな時、イスラム過激派で指名手配されている男イッサ・カルポフが、密入国者として捜査線上に浮上します。ドイツ諜報機関は、爆破テロが起こる前にすぐに拘束しようとしますが、バッハマンはイッサを泳がせ、資金提供ルートまで突き止める作戦に出ます。
バッハマンがこだわるターゲットとは?
バッハマンは、独自の情報網としてイッサを庇う人権擁護団体の女性弁護士アナベル・リヒター(レイチェル・マクアダムス)や、イッサの父親の巨額の遺産を管理する銀行の頭取トミー・ブルー(ウィレム・デフォー)を通じて黒幕と目を付けているイスラム教徒の学者ファイサル・アブドゥラ博士に行きつこうとします。
アブドゥラ博士は一見穏健な慈善団体として寄付を集めているが、その寄付金はイスラム過激派のテロ資金になっている可能性があると踏んでいます。イッサの遺産がこのルートを辿る確実な証拠をつかむことがバッハマンの目的でした。
“誰よりも狙われた男”
「誰よりも狙われた男」はもちろんこの映画のタイトルですが、当初から顔を出す密入国者イッサを文字通り危険人物として注目します。しかし、途中からそうではないと気づきます。CIAや諜報機関とは一線をおき自分流のやり方で指名手配人物を泳がせていた人物こそが“狙われていた”のです。
バッハマンの緻密に組み立てた作戦が奏功して、着々とターゲットを仕留めようとした瞬間に起こるシーンに、この映画タイトルの真の意味がわかります。同じ西側の国でありながらCIAとの微妙な距離、また同じ諜報機関内での確執が最後に一気に噴出して、なんとも言えない見終わり感を残す映画となります。
バッハマンの最後の顔が、故フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の顔とダブってしまいました。
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