今でこそLGBTは市民権を得つつありますが、この映画の原作はほぼ半世紀前です。それでも、女性同士の恋愛ストーリーにマイナー感もなければ、声高な主張もありません。なんといっても自然なのです。
そして、自然どころか二人の気持ちの可愛さと切なさが全編通じ、気持ちよく伝わってきます。男が見ても、です。
ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラー、どちらも好きな女優ですが、二人が出会い、別れ、そしてまた惹かれていく瞬間瞬間の表情、視線、目配せをものの見事に見せてくれます。
[amazonjs asin=”B01JJFAODE” locale=”JP” title=”キャロル(字幕版)”]
- 製作:2015年
- 日本公開:2016年2月11日
- 上映時間:118分
- ジャンル:ラブ・ストーリー
- 映倫区分:PG12
- 公式サイト:http://carol-movie.com/
目次
デパートの人ごみが静まる
クリスマスギフト客で賑わうデパートで、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)と販売員のテレーズ(ルーニー・マーラー)が出会います。キャロルの置き忘れた手袋を、テレーズは伝票に書かれた住所を手がかりにキャロルに送り返しますが、単なる顧客サービスではないのをテレーズのもどかしい仕草が教えてくれます。
手袋を自宅で受け取るキャロル。高級なしつらえの部屋で、最愛の娘と寛ぐ様子から、何不自由もないミセスと思いきや、帰宅してきた旦那と争う場面で大きな亀裂があることを知ります。
望んでいた再会
手袋を受け取ったキャロルはテレーズにお礼の電話をかけ、食事に誘いますが再会した二人の安堵感と半面のぎごちなさは、すでに恋人同士の感があります。デパートで偶然出会った時から、望んでいたかのように・・・。
夫とは離婚訴訟となり娘との面会もままならないキャロル、恋人からのプロポーズになぜか乗れないテレーズ、二人は期せずして惹かれ合い逃避行さながらの旅行に出ることとなります。
セリフ以上に伝わる名演技
離婚に未練を残す夫が差し向けた探偵に二人の仲を暴露され、キャロルは一旦家に戻ることになります。キャロルの本意ではないにしても、テレーズは大きなショックに打ちのめされます。
さあ、このあたりからが冒頭に書いた、二人の主演女優のセリフ以上の演技力に圧倒されます。特に、若いテレーズの方がダメージが大きいのですが、幸福の絶頂から悲しみのどん底、そして悲しみを追いやろうとしている健気さ、切なさを彼女は表情だけで伝えてくれます。
そして最後は?派手な演出をするわけでもなく、映画を見ている人がごく自然にそうなったらなあと思っているようにエンディングしてくれます。くどいようですが、二人の表情をじっくりご覧ください。
キャロルを今すぐ見る
[amazonjs asin=”B01JJFAODE” locale=”JP” title=”キャロル(字幕版)”]