「ボヴァリー夫人とパン屋」を見ると、いつもより余韻が長引く3つの見どころ

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アクションもいいけど、「見ることなく見る」映画なら、こんな映画はいかが。少しボーっとしながらアンニュイな余韻に浸れる仕上がりの映画もいいものです。

ギュスターヴ・フローベールの古典「ボヴァリー夫人」をモチーフにした映画で、コミカルで抒情的、そして時に知的で官能的で見終わった後に、“なるほど”と妙に爽やか感の残る映画となっています。

“妙に爽やか”というのは、あんな綺麗なヒロインが亡くなったにもかかわらず悲しみが残らないのは、監督特有の映画の“仕立ての良さ”によるものなのでしょうか。舞台となったフランス・ノルマンディー地方の美しい緑に映えるヒロインに見飽きないおススメの作品です。

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目次

ボヴァリー夫人とパン屋の見どころ1:
マルタンの視線の行き先

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パン屋のマルタン(ファブリス・ルキーニ)は、近くに引っ越してきたイギリス人のボヴァリー夫人(ジェマ・アータートン)に目が離せなくなってしまいます。

ジェマ・アータートンは、2008年の「007慰めの報酬」で注目された女優ですが、この映画ではそのコケティッシュな表情と容貌が場面・場面でクローズアップされ、目が離せないのは実は映画を見ているわれわれかもしれません。

マルタンがボヴァリー夫人を遠く、近くに見る時の表情が何度も描写されます。特に、彼の大きな見開いた目のインパクトは、視線の先にあるボヴァリー夫人を想像させてくれるのに十分です。この視線が色気のある女性を見るいやらしい男性視線になってないところは、この映画特有の“コミカル仕立て”のせいでしょう。

ボヴァリー夫人とパン屋の見どころ2:
なんで死んだの?

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ストーリーの見どころは、彼女は結局なんで死んだのだろうと思ってしまうところです。サスペンスでもなんでもないので、あまり強調されていないのだけど、なんとも引っかかってしまうストーリーになっているのです。

ネズミ嫌いのボヴァリー夫人が殺鼠剤を使うことに執拗に反対していたのはマルタンなのです。あんなに好きだったボヴァリー夫人が若い学生と浮気をした現場を目の前で見ているのです。

また、ボヴァリー夫人の元恋人が突然現れ、しつこく彼女を追いかける場面を見てしまったのです。自分が横取りしようとは思っていなかったけど、でもきっと彼らを許せていないのです。

どうしてくれよう!と思ったかどうか、自分が特別に彼女のために作ってあげたパンを食べた直後に彼女は死んでしまうのです。

ボヴァリー夫人とパン屋の見どころ3:
音と匂いと風

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もうひとつ、この映画の特徴は音と匂いにもあります。それは、マルタンの作るパンが焼きあがり、お店に来たボヴァリー夫人がひとかけら摘まんで試食する場面です。

焼き上がりのイイ匂いが伝わるパンを一切れ、彼女が試食で口に運んだ直後、口からサクサクと噛む音が漏れてきます。この匂いと音、そしてボヴァリー夫人が愛犬を連れて散歩する森の風と調和して、いつまでも余韻に浸れる映画の仕上がりとなっています。

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