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アニメは「ONE PIECE」や「ジブリ」だけでない!?
「クールジャパン」の象徴として「アニメ」が世界的に認知されるようになってから久しくたちます。
毎年夏冬に行われる同人誌即売会「コミックマーケット」がニュース記事になり、日本のみならず世界からも注目されるようになるなど、昔では考えられないことでした。
宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が米アカデミー賞長編アニメーション賞やベルリン国際映画祭金熊賞を受賞して以降特に、一般的なハードルもかなり低くなってきたとも感じられます。
しかし、やはり依然としてアニメは「ONE PIECE」「ドラゴンボール」「プリキュアシリーズ」といった子供が喜ぶもの、「ジブリ」制作の親子向けのもの、またはマニアックな対象(いわゆるオタク)向けと思われている、ことも一面であるようです。
今回は現在公開中、もしくはこの秋以降公開する劇場版アニメーションで、そのどれもが大人でも楽しめ、話題提供にもなりそうな5本を紹介・解説していきたいと思います。
ポスト「宮崎駿」監督の最新作!「バケモノの子」
劇場版アニメ予告:バケモノの子
昨年現役引退を発表したスタジオジブリの宮崎駿監督。
「風の谷のナウシカ」にはじまり「風立ちぬ」にいたるまで、多くのアニメ映画を世に送り出してきました。
海外でも高く評価を受け、そのクオリティーの高さには定評があっただけに、発表直後から惜しむ声が多数各方面から寄せられたのはニュースでも報じられたとおりです。
その「後継者」といわれる(本人は嫌がっているようですが…)一人が、これからご紹介する「バケモノの子」を発表した細田守監督です。
元々は宮崎駿監督がその才能に惚れ込み「ハウルの動く城」の監督を任せたのですが、諸々の事情で降板になった、というのは意外に有名な話です。
その後東映関係のアニメ制作に携わりながら、2006年に筒井康隆原作「時をかける少女」で一躍脚光を浴び、その後2009年「サマーウォーズ」のヒットで大きな評価を得ることになります。
その細田守監督の最新作が現在公開中の「バケモノの子」です。
両親の離婚・母親の死別で天涯孤独となった主人公蓮(声の出演、以降CVと表記:宮崎あおい(幼少期)/染谷将太(青年期))。
ある日、バケモノの住む世界「渋天街」に迷い込み、そこで出会った熊哲(CV:役所広司)と出会います。
親代わりとなった熊哲と暮らしながら、青年となった蓮は、バケモノ達や人間界での出会い・交流を通して一人の人間として成長していく、といった物語です。
作画のクオリティーも高く、宮崎作品にこだわる人でも十分に楽しめる内容になっていると思います。
CVは専門の声優を使わず俳優を登用していますが、主人公の幼少期を演じた宮崎あおいはかってテレビアニメ「魔法遣いに大切なこと」でヒロインを演じ、他にも「銀色の髪のアギト」など、声優経験は意外に豊富なところは余談です。
実写ドラマも進行中の「あの花」スタッフの最新作「心が叫びたがっているんだ」
劇場版アニメ予告:心が叫びたがっているんだ
フジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミア」で放映され、大きな感動を呼んだ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(通称「あの花」)」
小学校時代の仲良し6人組「超平和バスターズ」。
クラスメート本間芽衣子の死をきっかけに疎遠となっていたが、中学生になったある日、その一人である仁太の前に芽衣子の幽霊が現れ、一つの「願い」をかなえて欲しいと訴える。
その出来事をきっかけに、「超平和バスターズ」が再び結集。
それぞれの思い、感情をぶつけながらも、芽衣子の「願い」のために奔走していく…。
そのストーリーなどがアニメファンから絶大な支持を得たのはもちろんのこと、劇中に登場する「秩父市」の描写がリアルで、実際にファンが訪れることが多くなったということで、一部メディアでも報道されました。
劇場版も公開され、この秋には実写ドラマもスタートする予定(一部では賛否両論状態ですが…)のヒット作。
その「あの花」を制作したA-1ピクチャーズが送り出す劇場版オリジナル新作が「心が叫びたがっているんだ」です。
幼い頃、自分の「言葉」が原因で家族の絆を崩壊させてしまった成瀬 順(CV:水瀬いのり)。
絶望感に苛まれる順の目の前に現れた「玉子の妖精」。
妖精から喋ると腹痛を起こす呪いをかけられ、以後「言葉」と無縁の生活を送るようになり、周囲からは変人扱いされるようになります。
そんな順が高校2年生になったある日、彼女と同じように「ココロの傷」をもったクラスメート3人とともに「地域ふれあい交流会」実行委員を行うよう、クラス担任に命じられます。
コミュニケーションもままならない4人は、とりあえずミュージカルを出し物として行うことを決めますが、そこから先に進みません。
停滞感漂う中で、順は呪いを振り切り言葉を発します。
自分がミュージカルで「歌うよ!」と。
迫り来る交流会の日程、順達は無事にミュージカルを演じきることができるのでしょうか?といった内容です。
主演の水瀬いのりは幼女系のキャラクターを中心に活躍する若手声優ですが、あの大ヒットしたNHK朝の連ドラ「あまちゃん」で、GMT47の一員として出演、その年の紅白にもスペシャルユニットで登場したという経歴を持っている人物。
若いですが、そこそこの実力を持っていると思います。
物語は「ココロの傷」の克服、というある面重いテーマをもっており、家族崩壊のシーンなどは人によっては身につまされることもあるでしょうが、物語づくりに定評のあるスタッフなので大いに期待出来るかと思います。
この作品の影響で「自転車」ブーム!?テレビ版から続き絶好調の「劇場版 弱虫ペダル」
劇場版アニメ予告:弱虫ペダル
2008年より週刊少年チャンピオンに連載、現在まで1200万部という売り上げを誇る超人気自転車レースコミックのアニメ化。
2013年の秋の第一期テレビアニメが大ヒットし、昨年秋には第二期が、そして原作者渡辺航の新作書き下ろしとして新たに登場したのがこの「劇場版 弱虫ペダル」です。
根っからのアニオタだった主人公、小野田坂道(CV:山下大輝)は高校入学後アニメ研究会をつくろうと画策しますが、失敗したうえに「自転車競技部」に入部することに。
しかし、自宅から片道45㎞もある聖地・秋葉原に「ママチャリ」で通うなど、実は隠れた「自転車の天才」だったのでした。
最初はあまり気が進まなかった坂道も、様々な人との出会いやレースでの経験をとおし「自転車」の楽しさを知り、成長していく、といった物語。
自宅から45㎞もある秋葉原まで自転車で…。
個人的な話ですが、私も一時期ママチャリで秋葉原に通ったことがありますが、都内にも関わらず、時間はかかるし疲れるし…で止めてしまいました。
その脚力はやはり驚異的です。
この作品放映後、主人公の乗っているロードバイクの売り上げが上昇したりと、ある種社会的影響を与えたのもこの作品のすごいところです。
ロードバイクの売れ行き好調 「弱虫ペダル」効果で女性向けモデルも人気
(自転車新聞2014年12月7日より)
テレビ版ではインターハイを目指す姿が描かれましたが、劇場版では舞台を熊本に移し、「熊本火の国やまなみレース」でライバル校の面々らを巻き込んだ激烈なレースが展開されます。
早逝のSF作家が遺した作品をアニメ化「屍者の帝国」
劇場版アニメ予告:屍者の帝国
デビューからわずか2年で早逝のSF作家伊藤計劃。
その伊藤の意志を継ぎ、盟友であるSF作家円城塔が加筆・完成させた大作「屍者の帝国」がアニメ化、劇場公開されます。
舞台となるのは我々の住む世界とは違う19世紀。
フランケンシュタイン博士により死者の蘇生技術が確立され、「屍者」が労働力として産業・文明を支える世界。
ロンドン大学医学生だった主人公、ジョン・H・ワトソン(CV:細谷佳正)は、指導教授の紹介により諜報機関「ヘルシング機関」の仕事をすることになります。
中央アジアの覇権をめぐり英国と対立するロシアの軍事顧問カラマーゾフが、屍者部隊とともに軍を脱走し奥地に「帝国」を築いているという情報があり、ワトソンはその調査を命じられます。
道中では様々な妨害工作や陰謀が張り巡らされ、ワトソンはやがて、この世界の根幹「屍者」を生み出したフランケンシュタイン博士の秘密に迫っていきます。
実際の我々の世界とは異なる歴史を歩みながらも、実在の人物や有名な人物(ワトソン=あのシャーロックホームズの…、カラマーゾフ、大村益次郎、リットンなど)が登場。
事実の世界と見比べながら物語を楽しむのもよし、サイバーパンクSFとしてみるのもよし、の「大人のためのアニメ」です。
10月より公開です。
茨城県の地域振興に一役かったあのアニメが劇場版になった!「ガールズ&パンツァー劇場版」
劇場版アニメ予告:ガールズ&パンツァー
「戦車」を使った対戦競技「戦車道」が、「華道」や「茶道」とならんで「女子の嗜み」とされる世界。
その「西住流」家元の家に生まれた主人公西住みほ(CV:渕上舞)は、ある出来事がきっかけになり戦車道から離れる決意をし、教科として戦車道がない「県立大洗女子学園」に編入してきます。
しかし、編入早々教科として戦車道が復活。
みほはその家柄、実力を評価され、ひよっこ女子らの強化を命じられます。
実はこの学園は生徒数減少などにより文科省から廃校の通告を受けており、その回避のための唯一の手段が「戦車道全国大会」での優勝だったのです。
当初気の乗らないみほに対し、周りの仲間達は彼女を支え、やがて戦車道に対する情熱を取り戻していきます。
そして迎えた全国大会。
なみいる競合を、みほの采配と全員の努力で打ち負かした大洗女子の面々は、決勝戦へ。
その相手こそ、みほの姉まほ(CV:田中理恵)が率いる黒森峰女学園だったのでした。
大洗女子は黒森峰を破り、学園を救うことができるのか?というのがこれまでのストーリーでした。
今回の劇場版は、その続編にあたるようで、まだ情報が一部しかありませんが、どうも「西住宗家」のお家争いとかが絡んでくるようです。
この作品、ニュースなどでも報道されましたが、舞台となった茨城県大洗町の振興に大きな役割を果たし、毎年開かれている地元のイベント「あんこう祭り」の来場者数がアニメ放映後倍増した、ということです。
さらに、この作品の人気に我が国防衛省も注目し、同省が監修したDVDにこの作品の声優を登場させたり、実際に主役を演じた渕上舞は自衛隊駐屯地に招かれ、安倍首相もニコニコ動画のイベントで載った最新式戦車「10式」に搭乗したりしています。
まだまだ何かと話題の多い同作ですので、チェックしておくのもイイかと思います。
どうでしたでしょうか。
とりあえず(私の独断もありますが)五本の作品をご紹介しました。
これ以外にも注目作品は次々と出ていますが、この機会にいくつかアニメをチェックするのもまた楽しいと思います。