会社で上司から新しい企画を求められた時、
これまでと違うコンセプトの商品を出そうという時。
学校で自由課題をこなさなければならない時、
学園祭のイベントを考えている時。
私たちはよくそんなシーンに出会い、
新しいアイデアを一生懸命ひねり出そうと努力します。
それでも、いいアイデアはなかなかひらめいてくれなくて、
困ったという経験は誰もがお持ちですよね?
そんなアイデアを生む方法があるとしたら、知ってみたくありませんか?
すごい本があった!
いくつもの「アイデア本」が生まれ、消えていく中で、
古典的な作品として時代を超え、版を重ね、読み続けられてきた書籍があります。
それがアメリカの広告業界で活躍していたジェームズ・W・ヤングの著した
その名も「アイデアのつくり方
」(ISBN-10: 4484881047 ISBN-13: 978-4484881041)。
日本では阪急コミュニケーションズが1988年に出版以来、ロングセラーを続けています。
後続の書籍でも取り上げられることも多く、
アイデアをつくりたい、いいアイデアがほしいと思っている方は、
読まれた方、書名を聞いたことがあるという方もいらっしゃると思います。
このまえがきやあとがきを加えても100ページをわずかに超える小さな本が、
なぜ読み継がれているのか。
未読の方、興味のある方へご紹介します。
アイデア作成の基本的原理
この書籍でヤングは
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」
と述べています。
確かにゼロから作り出されるものというのは圧倒的、というよりほとんどなく、
これまでにあったものに、何かを付与・付加したものばかりですよね。
だからこそ、ヤングは
「新しい組み合わせを作り出す才能は、
事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい」
と言い切っているのです。
ヤングは当時の広告業界における名コピーライターでしたから、
主に広告デザインやキャッチコピーを意識して、
言葉と言葉を結び付けていくことを中心に書いているように読めますが、
これは汎用的にどんなアイデアにも通用することでしょう。
組み合わせということでは、
ブレーン・ストーミングの考案者でもある
アレックス・F・オズボーンの「オズボーンのチェックリスト」を
ご存知の方も多いと思います。
アイデアの作られる5段階
ヤングは、以下の5段階を経てアイデアが生まれると述べています。
第1段階:資料の収集
第2段階:資料の咀嚼(そしゃく)
第3段階:問題の放棄
第4段階:アイデアの誕生
第5段階:アイデアの適用
それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。
まず第1段階の「資料の収集」とは、
当面の課題と一般知識の収集をする。
アイデアが欲しいと思っている事柄に対する課題の洗い出しと関連資料の収集ですね。
第2段階の「資料の咀嚼」とは、
収集した資料に手を加える。
いろいろな角度から眺めたり、
組み合わせたりということで、
前述の「オズボーンのチェックリスト」が役立つのはこの段階でしょうね。
第3段階の「問題の放棄」は、
ヤングによれば自分の想像力や感情を刺激するものに心を移すということ。
少し乱暴に言ってしまうと、
とりあえず問題から意識を別のことに向けて忘れてしまいなさいということです。
これは意外に感じられるでしょう。
どのくらい離れていればいいのかについては、ヤングは語っていません。
おそらく個人差や経験の差、対象としている物事の深浅にも関係することでしょうから、
例えばこうして一週間後には、素晴らしいアイデアが生まれます、
などという保証はできないのでしょうね。
それでは困る。上司から求められている期限は今月末なのだから、
と言われてしまうかもしれませんが、
やはり本当に良いアイデアというものは時間をかければいいというものでもなく、
様々な要素によって誕生するものなのだと思います。
いよいよ第4段階の「アイデアの誕生」です。
ヤングはこの段階について
アイデアを捜し求める心の緊張をといて、
休息とくつろぎの時に、アイデアは突然訪れる
と述べています。
ひらめきと言っていいでしょうし、
「天啓」という言葉もあります。
人によっては天からの贈り物と言うこともあるでしょうし、
神が降りてきたなどという表現をされる方もいます。
この点については、次の機会に詳述します。
そして、第5段階の「アイデアの適用」。
良いアイデアというのは、自分で成長する特徴を持っている
というのです。
ちょっと何のことを言っているのかわからない、
という意見の方もいらっしゃいますよね。
この段階のことについても、別の機会にご紹介します。
アイデアのつくりかたについて、
興味をお持ちいただけましたか?